川崎フォトエッセイ  その417 闇の領域       HOME

 夜の世界は暗い。月明かりなどで、完璧な闇の世界にはならないが、それでも昼間のように自由に行動できるほど外は明るくない。

 ところが地下街とかは、光が射し込まない世界で、本当は昼も夜もなく、暗闇である。普通の室内でも採光が悪い部屋では電気をつける。

 電気は照明だけではなく、今の暮らしの中では、なくてはならないものだ。そのため、昼夜に関わらず、停電になると闇の世界になる。外は明るく、青空が拡がっていても、停電状態は、日常生活に支障をきたすので、一種の闇の領域に入ってしまうのだ。

 つまり、真っ昼間でも闇が潜んでいる。たとえ停電でなくても、電気を使った機械や器具はブラックボックスで、電気の闇と背中合わせの生活をしている。

 本当の暗闇なら、寝るしかない。そして陽はまた昇り、活動できる時間が来る。だが、電気で作られた世界は、起きても光は戻るとは限らない。