川崎フォトエッセイ  その419 何気なさ       HOME

 何気ない場所を歩いていても、やはり何かがある。何かが確かにあるのだが、それを何気ない感じとして意識するのは、直感的に何気ないと感じるからだろう。

 そのため「これが何気ない風景です」と提示されると、何気なくなくなってしまう。誰かが提示するからには、何かあると感じてしまうからだ。

 他の人にとっては緊張感のある場所でも、ある人にとっては何気ない場所かもしれない。見慣れている場所とか、特に注意を引くこともない場所とかは、その人にとっては何気ないのだろう。

 僕らは何かあるような場所で何かをする場合が多い。むしろそういう場所を探しているか、求めているようだ。何気ない場所はぼんやりした状態の中にいるようで、アクティブではない。

 何気ない場所で、何気ないことをすると言うのは、何もしていないことと近いように思える。