川崎フォトエッセイ  その459 影の中味       HOME


 実体よりもシルエットのほうがさっぱりしているときがある。

 ある人物の輪郭をプロフィールとかで知ることによって、輪郭の中味を想像する。ただ、それは勝手な想像で、中味のデータがないのだから、実体とは違っているはずだ。

 好ましいネタに対しては想像しているときのほうが楽しいこともある。逆に嫌なネタに関しては、想像するだけで不快感や恐怖感がわき上がる。実体とまだ対峙していないのに、そんな感情が起こる。まるで影に翻弄されているようなものだ。

 シルエットに対しての実体がそこにあったとしても、実際にはシルエット通りのものであることが多い。それほどかけ離れたものではないからだ。

 実体と対峙すれば、中味が全て分かるわけではない。シルエットよりも情報は詳細に詰まっているが、見えない箇所も多い。

 人との遭遇の場合、データよりも、感情面での飲み込みのほうが早いようだ。