川崎フォトエッセイ  その468 建物の生息       HOME

 特徴のある街角は覚えやすく、記憶に残りやすい。特徴は周囲の景観との関係でも決まってくる。古い町並みが続く一帯に急にモダンな建物が現れると、注目度が高くなる。そのものに特徴があるのではなく、周囲との関係で特徴が強調されるのだ。

 何でもないような民家が、モダンな建物群の中に混ざっていると、新鮮な驚きを感じる。決してそれは目新しいものではなく、日常の中でいやというほど見ている民家であっても、目を引くのだ。

 画一化した町並みとは、あるトーンで仕込まれた町並みで、そのトーン内での変化は、統一性がるため、あまり目立たない。同じジャンル内での差は、変化も緩やかである。

 町のリアリティーは、雑多なジャンルのものが混ざり合い、トーンが違うものと共存しているところにある。建物は生き物のように生息しており、別種の生物を見るような驚きがそこにはある。ただ、それを狙った建物は、動物的な感で、拒否することもある。