川崎フォトエッセイ  その598  庭空間      HOME

 庭は建物の外にあるが、敷地内にある。隣の家の庭を我が家の庭のように観賞することは出来るが、その庭を自由に移動したり弄ったりは出来ない。

 庭は建物に属した外である。本当の外は敷地外を指す。

 山や野原を所有していても、それは庭ではない。庭は人の手がかなり加えられた擬似的な外であったり、敷地内を区切ったり、余地であったりする。

 縁側にいきなり本当の外があると、危なくて仕方がない。人が入り込まないような林であっても、柵ぐらいは施されている。

 庭先で洗濯物を干したりとか実用性を必要としないのなら、観賞用として使える。山野を模した雛形を置くことで、庭先に秘境を引き寄せることも出来る。

 観賞用の庭は精神的なもので、ある境地にずっと触れ続けるなどのメリットがある。型に嵌った庭は、その型で言い表そうとするイメージが欲しいためだ。