川崎フォトエッセイ  その657  錠前      HOME

 錠で封印された門は開かない。その錠の鍵を失っても開かないし、錠そのものが錆びてしまい、壊れていても開かない。この場合の門は、門としての開け閉め機能を失うため、門ごと取り外されることになるだろう。

 錠が施されている門でも、飛び越えることは可能な場合もある。その場合の錠は「立入禁止」的メッセージしか発していないことにもなる。

 あることを思い出したくないので「思い出せないように錠をかける」という表現がある。「心に鍵をかける」とか「封印する」などもある。それが「忌み嫌う」思い出したくない記憶である場合もあれば、今それを思い出せば邪魔になる記憶もある。

 錠の向こう側のものは、まだ生きており、触れるとアクティブになることもある。また、大事な思い出とかは、封印することで、新鮮なまま保存することにもなる。何度も思い出すと、鮮度が落ちるためだ。