川崎フォトエッセイ  その711  矛盾信号       HOME

 信号機の赤と青とが同時に点灯しているとき、信号機の意味を失うことになる。「進んでもかまわないですよ」と言うのと同時に「進めません」と言われているようなものだ。

 人も、言葉では「来てもいいですよ」と言いながら、顔色は「遠慮してくださいね」となることもある。

 こちらの内面でも、行きたいけど、行ってはいけないなどの葛藤がある。機械にはそれがないため、選択に対する見切りがよい。

 矛盾した情報を出す機械は、その状態で、機械としての機能を失っている。人が機械に頼るのは、感情を無視し、目的だけを合理的に処理してくれるためだ。感情に振り回されないことが機械的利点でもある。

 しかし、いつも同じ反応しか見せない機械的動きは、生きていく上では面白くない。敢えて危険な状態に陥りたいわけではないが、パターンを変えたいときもある。