川崎フォトエッセイ  その722  自転車から       HOME

 自転車の後ろに乗せられている子供は、前方が見えない。どこへ向かっているのかはわかりにくいが、左右や後ろを見ることによって進んでいる方向は分かるはずだ。

 親が行き先を言わない場合、どこへ向かっているのかは謎のままだ。見知らぬ街を通過中は新鮮だ。来たことがないと思っていると、見覚えのある建物が見えたりする。

 子供にとって印象に残る建物や場所がある。これは目印になりやすい。大人になってからその場所へ行っても、興味を示さないことも多い。しかし、懐かしさは確実にあり、その意味で注目はする。街角の変化は激しく、子供時代の建物がそのまま残っている場所など希だ。昔ながらの古い商店街などは、ずっと同じ姿を維持することが多いが、ある日完璧に根こそぎ消えていることもある。

 自転車の後ろから眺めていた風景は、独自な視点があるため、同じ場所を通過しても、分からないこともある。