川崎フォトエッセイ  その732  根こそぎ       HOME

 観光地ではなく、いつの間にか時代から取り残されたような場所ほど、ある日行ってみると、モダンな場所になっていることが多い。

 高層マンションが建ち、新しげなタウンになっている場所ほど、その前の風景は、想像できないほど古色蒼然としていたかもしれない。その切り替えの大胆さにあきれる思いだ。

 中途半端にモダンな場所は、根こそぎ変えてしまうにはもったいない。まだまだ現在に通じるものがあるためで、使えるためだ。

 メンテナンスを繰り返しても、修復できなくなると、根こそぎ抜き取るようなことになる。つまりフォーマットだ。

 それでも対応できなくなれば、遷都するしかない。何もない場所に、一から都を作ることで、過去の呪縛や、繋がりを断ち切り、真新しい気持ちで、出発できる。

 遷都先がいつまで経っても馴染めないこともありえるが…。