川崎フォトエッセイ  その913  悪霊       HOME

 聖なるものは、どこか不気味だ。人々が崇拝するものの中には、祟り神がいるためだろう。

 悪霊が神仏になることもある。しかし、悪霊というものは実際には存在しない。誰かが作ったものだ。それにはきっとモデルがあるに違いない。

 死後の世界も神話の世界も、人が想像して作ったもので、信仰や宗教というカテゴリーに属している。

 この種の世界は、この世の現実の裏返しのようなもので、あくまでもこの世の反映である。その世界を作ることにより、この世が生きやすくなる人達やシステムがあるからだ。早い話、身勝手な世界観である。

 心霊や神話が、現実として絡んでくるのは「心」の領域である。そして「心」はどうなっているのかは、実際には分からない。

 過去、何かがあり、それを何らかの形で残さないと、祟られるようなことをしでかした人々がいる。悪霊的なのは、人なのだ。