川崎フォトエッセイ  その945  甘い話       HOME

 世の中には甘い話がある。辛い話は避けたがるが、甘い話には乗りたがる。これは当然の情だろう。

 その情を利用し、甘い話に乗せようとする仕掛けがある。その仕掛けを少し観察すれば、決して甘くはないことは判明する。逆に最初から辛いものだと覚悟をしていると甘い箇所があるとホッとする。

 甘い話が、実際には普通の話だったりすると、その普通さが、逆に辛く感じられる。

 普通の話は、甘くも辛くもないわけではなく、どちらかと言えば辛いかもしれない。それなりの段取りを踏んだり、それに見合う手間や金銭を使う必要がある。

 手間暇や金銭を省略出来るのが甘い話の輪郭かもしれない。そして、人々は「甘い話には裏がある」ことを常識的に察知している。

 普通の話の中にも甘い話はある。それなりの事情があって、甘くなっているのだが、その事情さえクリア出来れば、問題はない。

 甘い話に騙され続けていると、今度はうんと辛い話に乗ってみようかという気になって来る。当然、それを狙った罠を誰かが作っているだろう。甘くはないと言う甘い話を。