川崎フォトエッセイ  その1339 生き甲斐      HOME

 自販機やコンビニの普及で、煙草だけを売っている煙草屋は影が薄いのだが、残っている場合はかなり目立った存在になる。

 昔からある煙草屋の店構えは、駅の切符売り場に似たような窓口があり、そこで受け渡しを行う。

 無口な自販機とは違い、煙草を買ったついでに近所の噂話とかも聞ける。

 煙草屋には、もう看板娘は存在せず、お婆さんやお爺さんが、店番していることが多い。

 煙草の販売だけで食べていけるとは思えないので、単に開けているだけの存在だ。

 しかし、隠居してしまうより、営業しているほうが、何かと有意義なことがあるはずだ。

 それは、窓と社会が繋がっており、行き交う人々との接触があるからだ。

 また、店を維持するという義務感や使命感もある。

 それらは生き甲斐を与えてくれることがあり、経済的なことで開けているのではないと思える。