川崎フォトエッセイ  その1376 由緒       HOME

 由緒正しきものは、それなりの装飾が施されている。

 だが、由緒がなくても装飾だけが一人歩きすることがあり、装飾だけが流通することもある。

 その由緒や、それを取り巻く価値観に対して施されたものではなく、中味がなくても、装飾性だけで張り出しているとなると、本当に由緒正しきものさえも、似たようなものだと思われてしまうかもしれない。

 しかし、昔の物となると、真似るとなると、コスト高となり、海賊版を作ってもメリットはない。

 それを作った時代の、その時の勢いは、時代と共に薄くなり、熱も下がるのだが、程よく冷め方をしたものの方が、風格が出る。

 それが作られた時代のものよりも、歳月を経たものを多くの人達は見ているわけで、最初のものではなく、古くなった状態でのイメージの方が固定する。

 由緒正しきものの実体ではなく、それを受け止めてきた人々の気持ちの方がイメージを投げ返しているように思える。

 

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