川崎フォトエッセイ  その20  希薄な風景    ←前 次→  ホーム


 いつも通る散歩道が作業中だった。車道と歩道の間に植わられている街路樹や植え込みを「散髪」しているらしい。

 街路樹の中には桜も混ざっており、春には桜並木になる。

 足下には植え込みがあり、こちらは細かい葉の植物が植えられている。何という植物かは分からない。

 あまり感心のないもの、自分と関わりの薄いものに対しては、情報を吸収しようという気がないようだ。

 そのときのぼんやりした見え方が好きである。関わりが希薄な物体に対しては、鋭利にピントを合わさないし、こちらの内面との絡みで見ないため、罪のない観察が出来るのだ。

 観察も感情移入しすぎると目が曇ってしまう。個性的な見方、意味をかみしめた見方、それらは「脂が乗りすぎた見方」で、見る側の事情の反映が大きすぎる。目に映っているというだけの見え方、これが楽でいい。