川崎フォトエッセイ  その19  夏の空    ←前 次→  ホーム


 夏の色は濃い。空気も分厚く感じられる。震災後、三度目の神戸市長田区の夏空は、嘘のように青かった。

 終戦の夏も、同じような真夏の青空が広がっていたのだろうか。平成のこの時代、確かに排気ガスやスモッグで、空気は淀んでいるのだが、悲しいほど青いのだ。

 モロッコの砂漠で見る青さとは、比較にならないほど、青さに違いがあるかもしれないが、夏のある時期にしか見ることの出来ない夏空の青さは、目が感じている以上に青いのだ。

 地下鉄の階段を上ったときに見る夏空など、効果満点である。

 その夏空は、夏休みの日に見たものと同じだ。泳いでいて、ふと見た空の青さ、蝉捕り網の向こう側にあったあの青さ。

 夏空は、果てしなく続いている。それに比べ、夏休みはもうすぐ終わる。そんな気持ちとオーバーラップしてしまうのだ。