川崎フォトエッセイ  その18  農家の塀    ←前 次→  ホーム


 住宅地の中に、ぽつんと「農家のある風景」がある。よく考えると、農家と田畑しかなかった所に普通の家が加わっているだけなのだ。

 古い農家が残っている周辺は、あぜ道の延長のような道が通っており、車が通れるほどの広さはない。

 この種の小道は歩行者天国的で、車を気にせず散歩を楽しめる。と、油断をしていると、たまに車が入り込む。車をやり過ごすには、かなり無理な姿勢で避けないといけない。これはものすごく不快である。車の肩幅が広すぎるのだ。

 歩行者もドライバーも顔なじみなら、問題は少ないが、そうでない場合、単なる肩幅の広い迷惑な奴が「そこのけそこのけ」と近づいてくることになる。お互いに何も悪いことはしていないが、ギスギスした関係になりかねない。

 田畑がなくなり、あぜ道だけが残った小道は、ドライバーにすれば、ただの狭い道路に過ぎないのだ。