川崎フォトエッセイ  その17  ドブ川    ←前 次→  ホーム


 コンクリートで固められた川は、蓋が開いている土管と変わらないのだが、日が射すため、藻や雑草が育ったりする。

 メダカもフナも泳がなくなった下水管のようなどぶ川でも、自然の息吹は健在だ。

 どんな鮮やかなペンキの色よりも、自然色の鮮やかさには勝てない。色目が鮮やかなだけではなく、生命的な何かが飛んでくるようだ。

 パソコンで実物の色に近い色を探しても見つからない。一寸違うのだ。これもまた、その色のある場所との絡みで、色だけ抜き出しても、印象が異なるのは当然だろう。

 つまり、見ている場所からの距離や空間が大きく左右するのだ。

 同じ色目でも、血の赤と、花の赤とでは、印象が全然違う。色見本では同じでも、全く異なった色なのだ。

 色々な体験で、色に染まるとか、色眼鏡で見るとか、色にまつわる言葉はあまりよくない。それほど色は誤魔化されやすいものなのだ。