最近の建物は定規で書けるが、一寸昔の木造家屋は、定規が使えないほど複雑に出来ており、手書きでラフにしか書けない。建てられたときの設計図と、かなり違いが出てきている。
住む人の個性が、木造住宅には出やすい。壁や板がはがれてしまったとき、そのあとどう処理したかが、如実に形となって表示される。
行き当たりばったりで、成り行きで出来てしまった街と、きっちりとした都市計画の下で出来た街とでは、前者のほうが暮らしやすい。しかし見てくれが悪いし、トラブルも多い。
人も街も、滲み出る何かがある。その「滲み」に親しさを覚えると同時に、嫌悪感も覚える。
自然というのは、好悪がディフォルトで含まれているのだから、悪い面を覆い隠そうとすると、何処かで、それが破裂してしまうようだ。