川崎フォトエッセイ  その41  ファーストフード    ←前 次→  ホーム


コンビニやファーストフードの店が全国津々浦々に行き渡った。まるで新しい神々の神社のように。

 その種の店が町内にできると、普通の店よりも入りやすいため、ついつい利用してしまう。そしていつの間にか、日常の中に溶け込み、普通の風景になってしまった。

 ファーストフード店では、コーヒー一杯で長時間読書をしたり、ノートを取りだして勉強などもできる。昔、流行っていたころの喫茶店では「お勉強お断り」なる張り紙があった。粘られては困るのだ。

 すっかり僕もファーストフード店の常連になっており、毎晩お茶を飲みに行く。ただしものは食べない。

 欲しいのは食べ物や飲み物ではなく、喫茶の間合いなのだ。意外と、ちょっと一息のこの間合いが、この種の店で手軽にできる。

 この新たな神社には御神体はない。場だけが存在している。悪くはない。