川崎フォトエッセイ  その81  遠足    ←前 次→  HOME


 学校での日常の中で、遠足はそれなりに非日常な世界へのワープだった。中学高校になると、行動範囲も広がるので、遠くへ行くという感じがしなくなる。小学生低学年ほど距離感を感じるので、遠足向きである。
 いつも乗る路線バスではなく、観光バスに乗っただけで、昔はワクワクしたものだ。いつもと違う道を走るだけでも、新鮮だったのだ。前日など嬉しくて眠れなかった。
 目的地までの車窓風景も新鮮で、見たことのない街並みや景色が続いている。小学生の生活範囲内の景観と大した違いはないのだが、同じ要素でも、違う配置や形となって展開しているだけに、異様な印象を受けたりする。
 遠足へ行く場所が、裏山へのハイキングだったとしたら、近所すぎて、遊んだ気がしないかもしれない。
 遠足は観光であり、遊びであり行楽なのだ。何かを教えようと先走ったとき、それは普段の教室の中と変わらなくなり、日常から踏み出せない。