古いビルを見ていると、デコレーションケーキを連想してしまう。つまり、ごちゃごちゃと飾ったあの感じだ。
この種のビルが取り壊され、同じ敷地に新しく建つとき、ガラス窓の多いすっきりとしたビルになってしまう。まあ、そのほうが絵とかで書くとき、定規を当てやすいので書きやすいが、書く面白味に欠ける。
ビルは、絵の素材ではないので、絵になるような建て方をしているわけではない。絵になるかならないかは、そのあとの話である。
機能的なものは、もうその機能一点張りで、他の妄想を介入させる隙間がない。遊びがないのだ。
すっきりとしたものが多いと。ごちゃごちゃしたものが欲しくなる。そしてその逆もある。
機能美は存在するが、それはあくまでも「美」である。「美」にもならないような雑多な凹凸は外される。洗練されたものは冷たい。