茶の間のテレビは、部屋の一等地に置かれている。一番目につきやすい場所である。そうしないと複数の人間が同時に観ることができないからだ。たとえが悪いが、テレビは神棚的ポジションにあるのだ。
家族での会話がなくても、テレビが一方的におしゃべりをしてくれる。テレビを観ていると、逆に家族の会話が邪魔になる。クイズ番組の答えを聞き漏らしたりするし、ドラマだと、感情移入状態で観ているときは、家族の会話は邪魔になる。しかし、会話をしなくても、同じ部屋で同席できるメリットがテレビにはある。
テレビを捨てても、テレビの存在は消えない。食堂や待合室にテレビはあるため、いくら観ないようにしても目に入ってくる。
テレビは嫌いでも、放映されている内容に興味があるときは、チャンネルを合わせてしまう。
新聞のテレビ欄を見ていると、別にテレビを観なくても、どんな番組をやっているのかがわかる。
やはりテレビは日常の中に完全に埋め込まれていると看ていい。