川崎フォトエッセイ  その165  犬神    ←前 次→  HOME


 犬は散歩中に小便をする。これは犬にとては邪悪なものではないが、小便をかけらた建物の主にとっては邪悪なものとなる。邪悪なものに対抗するため、聖なるものでマジナイをすることになる。

 たとえば「犬神」とかの文字を書いて、犬に威嚇するわけである。しかし犬は文字が読めない。従ってこの威嚇は飼い主に向けられたものだろう。

 呪術的な意味での「犬神」と小便封じの「犬神」とは、根本が違う。これは「猫神」でもいいわけだ。もっといえば飼い主を威すような言葉であれば、別に神様の名前でなくてもかまわない。

 よく見かける小便封じは、鳥居のマークだが、これは小便をするのが犬ではなく、人間を対象にしている。

 小便は汚らしいが「犬の糞させるな」とか「犬の小便お断り」とかの、文字列も、何となく汚らしい。