川崎フォトエッセイ  その174      ←前 次→  HOME


 窓を開けると、隣の窓が見える。都市郊外のごみごみした住宅地は、だいたいそんな感じだ。

 景観のいい場所は、都心部より離れているので、通勤時間がかかりすぎる。まあ、景色のいい地方に住めば別だが……。

 便利さと景観は反比例するようだ。確かに超高層マンションから下界を見下ろす生活なら、広々とした景観を得ることができる。だが、その下界は、人がひしめく市街地である。見下ろしている側も、見上げられているわけだ。

 まあ、人は群れて暮らす動物なので、人口密度や建物密度の高い場所にいるほうが安心できるのかもしれない。

 群をなして泳ぐ魚をテレビなどで見ていると、人と同じような社会があることが分かる。そして人よりも、魚のほうが生存競争が、より厳しい。ここでは文字通り、生きるか死ぬかである。

 人の世界での生存競争は、命までは取られないだけに、生き続けなければいけないので、負けるとあとが辛い。