川崎フォトエッセイ  その190  大衆食堂    ←前 →次  HOME

 大衆食堂のメニュー(お品書き)はわかりやすい。焼き飯やうどんは、それがどんな食べ物かを説明する必要はない。それだけに謎めいた料理はないので、少し退屈だが……。

 しかし大衆食堂によって、惣菜が違う。定食ものはポピュラーな一品料理(焼き肉やコロッケとか)に、ご飯と味噌汁がつく。単品だけで事足りるのはカレーや丼ものだろう。

 これではメニューとしての幅がないように思えるが、大衆食堂には惣菜が用意されており、客が好みの皿を選択することができる。この惣菜皿は、メニュー化されていない。なすびを煮たものと千切り大根を煮たものがドッキングしている皿などがあり、バリエーションは無限に増やすことができる。ここが大衆食堂の深いところである。

 よく考えると、それらの惣菜は、日本の家庭料理と同じである。それゆえに、食事で外出するという華やかさは期待できない。

「張り切った料理」を食べさせられることに疲れたときは、大衆食堂でリラックスするのも悪くはない。