工場地と住宅地が隣接する界隈があった。その工場で勤めているのなら、近くに住んだほうが便利だったのだ。そんな時代は、街はカオス状態で、いろいろなものがごちゃ混ぜになっていた。
子供が遊ぶ野原から巨大なガスタンクが見えており、野原の土管とガスタンクを配した絵は、下町の定番絵だった。
路地裏を抜けると野原があり、野原の向こう側にガスタンクや工場の煙突が見える……。子供達が行けるのは野原までで、その先の工場地帯へは近付くのはSF小説バリの冒険だったはずだ。
お父さん達が自転車で工場から戻ってくる。野原で遊んでいた子供は、その自転車の後ろに乗せてもらい、一緒に帰る。
何かものすごくわかりやすい構図である。また、工場と住宅地の間に川が横たわっており、お父さんは橋の向こう側から自転車で帰宅する構図もある。
今は、わかりやすい繋がりが希薄となり、視認性が悪くなる一方だ。