川崎フォトエッセイ  その262  人型    ←前 →次  HOME

 かなりいい加減な輪郭で書いても、何であるのかが分かることが多い。心霊写真モドキでよくある例として木の葉の重なりから、人の顔に見えたりするものだ。左右の点が並んでいるだけでも、目に見えるし、その下にもう一つ点があれば、それは口になり、この三点だけで、人の顔に見えてしまう。見えると言うより、そこへ引っ張られるのだ。

 わら人形にしても、かかしにしても、単純な組み合わせなのに、人の型に見えてしまう。その気になれば、天井の木目やシミをじっくり見ていると、いろいろな表情の顔や、人間の姿が浮かんでくるものだ。人は一番人を気にする動物なのかもしれない。

 人の姿に似ていると思うだけで、実際にはそれ以上の展開はない。だが、人形や、人を似せたものを、簡単にゴミ箱に捨てるのは、躊躇する。人型という構造だけに、その構造の中に、何かが入り込んでいるのではないかと、思ってしまうからだ。実際その種の怪談話もあるため、ためらって当然である。