川崎フォトエッセイ  その274  日常の照明    ←前 →次  HOME


 地下鉄は地下を走っている。しかし闇の暗さを感じない。それは、人がいる場所は照明が施されているためだ。従って、通路や階段、車両内は普通の明るさである。

 しかし、屋外での太陽光ほどの明るさは必要ないので、特別明るいわけではない。  地下鉄で闇を感じるとすれば、走っている窓から外を見たときだ。しかし、外は暗いため、窓ガラスが鏡のようになってしまい、外の闇は見えにくい。顔で影を作って窓から外を見ても、車内の光が漏れているため、地下の壁も暗くはない。

 僕らの日常も、これに似たようなもので、照明が施されている。その「日常路線」上を移動する限り、滅多に闇は顔を覗かせない。

 たとえば、ボーナスが半分しか出なかった場合、照明が半分消えたような感じとなる。安定しているはずの照明が妙だと、やはり日常の道も暗くなる。