川崎フォトエッセイ  その278  古き良き時代    ←前 →次  HOME


 古い建物の中には古い人が住んでいるわけではないが、外観が内部を決めつけてしまうことはよくある。「こうだから、そうだろう」という感じである。

 建物が古くても、時代までは古くはない。今の時代を共有している。でないとそこは亜空間である。その場合はおそらくこの現実からは見えないだろう。

 この現実は刻々と古い現実となっていき、ある時期を過ぎると、明らかに「古い」と言い切ってもいい物件となる。そうなると、今とはかけ離れすぎるため、別の世界のように見てしまうことになる。

 いずれにしても、今から見れば、すべての建物は古さに向かって時を刻んでおり、建ったばかりの建物も「新しい古さ」が加わっただけのこととなる。

 その意味で、今のこの時点も、もっと未来から見れば「古き良き時代」として存在するのは間違いない。