川崎フォトエッセイ  その282      ←前 →次  HOME


 人というのはどうもわからない。何を考えているのかがわからない。だが、見知らぬ人はわかりやすい。わかり方が大まかだから。

 人はデータ的にはわかるし理解できる。大まかな輪郭だけなので、それ以上の細部は省略されるからだ。細部のデータがいくら詳細でも、まだまだ輪郭を見ているようなものだ。その輪郭の中は覗けない。

 わかりにくいのは、輪郭の中。つまり、何を考え、何を思っているのかだ。それらは言葉や仕草や行動などで、察することはできるが、それが額面通りとは限らない。

 僕らは自分の事情を説明するとき、多くの嘘をついていることを自覚している。ある箇所を飛ばしたり、触れなかったり、ある箇所だけを強調したりとかである。

 真意が、実につまらなく、ありふれている場合もある。人は額面とは裏腹に、もっと情緒的で単純なことしか言っていないようにも思える。