川崎フォトエッセイ  その289  野糞    ←前 →次  HOME


「小便するな」とかの貼り紙のある場所は、小便しやすい場所を示している。「大便するな」だと、大便しやすい場所なのだ。小便と違い、より深い場所にあり、通行人からの死角になっていることを、知らせているようなものである。

 屋外で大便をすることを野糞と言うが、同じ屋外でも、路地とか、道ばたでは、野糞するほうも不安だろう。人目に触れない草むらとかなら、やりやすいが……。

 立ち小便も野糞も実行中は非常に無防備である。この種の生理現象をやっている最中は、犬や猫と同レベルの感情になるが、人の場合、見られることに対して、羞恥心を持つ場合が多い。

 犬や猫が大便をしているときの表情を僕はこよなく愛する。哀しそうな顔をしているし、目を閉じたりして、気持ちよさそうにしているが、どこか哀憐の情が滲み出ているからだ。