石油ストーブとヤカンとの組み合わせはしっくりとしている。何かもう違和感がない。ヤカンが乗せられるストーブに、ヤカンが乗っていたいのを見るほうが、違和感を覚えるほどだ。何かが足りない……という感じである。
ヤカンから登る湯気は、いかにも暖かそうだし、それに乾燥した室内を潤してもくれる。ストーブが普及しなかった時代には火鉢があり、これは畳の上に置いたときの違和感は、石油ストーブよりない。火鉢は室内を暖めるほどの火力はなく、火鉢に手を当てて暖をとっていた。当然火鉢にもヤカンや鍋を乗せるが、これはそのままコンロの役目を果たしていて、煮物や鍋物に適していた。
ファンヒーターや、エアコンになると、純粋に暖かい空気を送り出してくれる装置になり、湯を沸かすような芸はできない。
ある機能が、別の機能を生み出すというのは、広がりがあって楽しい。