川崎フォトエッセイ  その321  雑然と    ←前 →次  HOME

 わかりにくさは、人に不安感を与える。しかし、あまりにも単純明快で、それ以上奥がなく、拡がりもないわけで、それはちょと退屈ではある。

 様々なものが複雑に絡み合った風景は、まとまりに欠け、どこを見たらよいのかがわかりにくい。そのため鑑賞する側の負担は大きい。また理解するのも面倒なので「雑然としたもの」として認識し、それ以上細かい階層にまで降りていかないように、ストップをかけることにより、わかりにくい不快感から逃れようとする。

 逆に、雑然としたものに快感を覚えることもある。そのジャンルが好ましいときや、心地よい刺激が埋め込まれている場合だ。

 ただ、快と不快は背中合わせで、不安や危機感をクリアすることが快感というケースもある。

 雑然としたものや複雑なものが、視覚的に見えている場合は、まだしもわかりやすいほうで、本当に恐いのは見えない仕掛けだ。