川崎フォトエッセイ  その320  見えない側面    ←前 →次  HOME

 舞台の書き割りのような風景がある。正面から見ると普通だが、横から見ると奥行きがなく、あるはずの側面が消えている。芝居の場合、観客はそんな真横からは見ないので、客席からは盲点となっている。

 舞台でなくても、正面からしか見えないものがたくさんある。関係者以外は側面を見ることができなかったりする。正面が普通の建物なら、当然横も裏もあると思い込んでしまう。

 見えない側面や裏面は気になるところである。正面だけでは信用できない場合があり、違った角度からの情報も欲しいのだ。

 だが、正面のイメージが、そのまま裏側まで続いていると思うのが、ノーマルな観察で、裏は見えないので、むちゃくちゃになっているのではないかと考える方が、実際にはどうかしている。

 横や裏には回り込めないものもあり、その場合は、正面を信じるしかない。