地上を、10センチぐらいで、移動する視線というのは非日常だ。まあ、それは人間の視線から見ればそう思えるだけなのだが……。
多少、視点を変えても、見え方が普段とは違うだけで、そこにあるものは異次元のものでもなければ、突飛なものでもない。ものそのものは変わっていないのだ。
ただ、視線や視点を変えると、注目するものが変わってくる。当然、日常風景の構図も変わってくる。そこから新たなものを発見するわけではないが、構図的な見え方の違いが、多少は新鮮である。
普段見慣れたものでも、別の視点から見ると、存在感がよりリアリになる。これは、日常的風景は、見ているのに見ていない場合が多いため、あらためて別の絵を見るような感じで注目してしまうためだろうか。
その視点切り替えが、たとえ実用性のないものであっても、それを見ることによって、自分自身が、この地上に生きていることを、再確認させてくれる。