川崎フォトエッセイ  その413 安っぽい       HOME

 何気ない日常の中には、作為的でないアート性が含まれている。もちろん日用品や、よくある街角の景観でも、それなりのデザインが施されているのだが、積極的な見せ方ではない。

 日常の中の風景は、見せ場になるような建物も少ない。周囲を見渡すと、ありふれたものが目にはいるだけである。

 日常空間は美術館ではない。また作品ではない。暮らしの場である。しかしよく見ると、作られたものではない良さが随所にある。つまりアートの趣が、陳腐なものの中にも潜んでいるのだ。ここで言う陳腐とは安っぽい程度の意味である。

 この安っぽさは、価格的に安いとうより、それ以上の加工は必要ではないだけなのだ。日常は、人の暮らしの中では、自然体に近いものがある。そこに見いだされるアート性は、作り物ではない変化がある。

 普段着で、買い物へ行くとかの図は、それなりに構えているかもしれないが、油断している箇所も多い。そこに自然なものを感じるのだ。