川崎フォトエッセイ  その415 歩行者天国       HOME

 横断歩道の白線は、またぐようにして道路を横断するが、歩行者天国になると、白線に沿って歩くことができる。

 歩行者天国は道路そのものが横断歩道のような感じで、白線も信号も意味をなくしてしまう。車道が一時的に歩道になるため、クルマのいない広い道となる。しかし、普段は道路脇の狭い歩道しか歩いていないため、道路の真ん中を歩いていると、まるで岸辺から沖合に出たような感じになる。

 歩行者天国になる日は、特別な日で、イベントとかが開催されているときだ。街そのものがイベント化する祭りとかでは、日常を覆っていた秩序や決まりが、わずかばかり解き放たれる。

 僕らはそこで何らかの開放感を体験するのだが、では普段、解放されないまま、我慢したり耐えていたのかというと、そうではない。なぜなら、日常が解放されてしまうと、逆に不安定になるからだ。