川崎フォトエッセイ  その439 言葉       HOME


 言葉で言い切られると、その言葉に反する行為がしにくくなる。ただ、その言葉に該当しない人にとっては、言葉や言葉が書かれた文字に接しても、たじろぐことは少ない。

 言葉はひとつの壁をなしており、それを乗り越えるには言葉ではなく、何らかの現実的行為を経た後、ある言葉を獲得してからでないと、壁の前には立てない。

 人から「ある言葉」を言われることにより、その人の世界観に亀裂が生じることが日常ままある。その人の世界が言葉でできているとまでは断言できないが、他人に対して、つじつまを合わせるためには、それなりの言葉を用意しておく必要がある。

 用意する言葉は、別の言葉を捜すか、使えない言葉を使えるようにするかである。前者のほうが楽であるが、その人の世界観に変化が生じてしまう。

 ある言葉が言えるだけの裏打ちになる行為があれば保証されやすい。