川崎フォトエッセイ  その443 座敷       HOME


 座敷や縁側に座りながら、庭を見る行為はひと昔前なら何でもないことだった。日本家屋に寝起きしておれば、それは日常のことだった。

 畳の上で座ったり寝転がったり、また、布団を敷いて寝たり、布団を畳んでお膳を出してご飯を食べたり、とかの生活パターンだった。

 街のほとんどは和式ではなく洋式である。交通機関も座敷ごと移動するような駕籠ではなく、座席は椅子である。オフィスも畳や板敷きの上でベタ座りするようなことはない。我が家の外が洋式になっていくため、我が家でも畳の上に机やテーブルを持ち込むようになる。もちろん洋式のベッドもだ。

 すごく神経質な人なら、このアンバランスに悩むことだろう。つまり統一に欠けるのである。しかし物理的には和洋が交ざり合う配置は可能だし、暮らす人も便利なものは使うだろう。

 逆に、洋式の家屋に住んでいる人が、和式を取り込む時代になっているのもしれない。