川崎フォトエッセイ  その442 泥臭い       HOME


 土壁には柔らかさがある。それはどろんこ遊びをしていたころの、泥の感触を覚えているためだろうか。粘土でいろいろなものを作った記憶なども思い出してしまう。

 土の持つ素朴さは、木の素朴さよりも、素朴度が高い。木が生えていない場所でも土はある。また道路や建物も、その下は地面である。

 土はその意味で、珍しいものではないが、地肌を露出させた場所は都市や街では見る機会が少ない。

 よく見かけるものに対しては、それほど注意は払わない。希少価値が生まれると、それが復活してまた商品化される。すごく素朴なものが、そういう形で再登場してくると、わざとらしさを感じてしまう。それは素材そのものに対してではなく、その狙いに対してだ。。

 全てのものは、何らかの形で、経済的価値がある。そこに人間の欲望が渦巻いており、それだけに世の中は何処までも泥臭い。