川崎フォトエッセイ  その476 人工物と自然物       HOME

 人工物が、自然物の中に溶け込み、一体化しているのを見ると、ある意味での自然さを感じる。

 自然物が、人工物を受け入れているわけではないが、自然物との絡み合いを長く続けた人工物は、それなりの存在を獲得している。

 山野の中にある人工物は、人工物が付け足されているが、住宅地とかでは、逆に人工物の中に自然物が付け足されている。当然、その人工物がそこにできるまでは、何もない原っぱだったかもしれないが。

 住宅地などで見かける垣根は、自然物を人工的に配置したものである。この状態ですでに不自然である。自然界ではそんな並び方はしないかもしれないからだ。

 多くの人が暮らしている場所は街である。街そのものは自然物を破壊し、その上に立っていることが多い。

 自然物を取り入れることは、実際には不自然だが、木や草が育たない街は文字通り自然物のない不自然な街になる。