川崎フォトエッセイ  その477  懐く      HOME

    塀などに植物が絡まっているのを見るとほっとするのは、人工物に自然物が懐いているように思えるからだろうか。

 実際には植物は植物なりの振る舞い方をしているだけなのだが、見る側にそんな印象を与えるから不思議だ。

 植物が馴染むような人工物は、それなりに溶け合っているように見える。これは自然を征服してきた側から見ればほっとすることかもしれない。どこかに罪悪感があり、自然界に対して、いつも何か気にしているのではないだろうか。その和解したような共存の風景を見たとき、気持ちが安らぐのかもしれない。

 町中から自然が消えていくことは不安なことでもある。植物さえ生えないような場所に人が住んでいることになるからだ。

 人が生き物であるように、植物も生き物である。