川崎フォトエッセイ  その513  人を見る      HOME

 僕らは数え切れないほどの人間を見てきている。その中には通りがかりの人も含まれている。よほど隔離された世界で暮らしてきた人でない限り、代表的な人々を見知っていることになる。この代表とは類型的なパターン化できる種類の人々という意味である。

 表示と中身は異なることは当然あるが、たとえその中身を知っている人でも、どれだけの階層まで知っているのかとなると、見知らぬ他人以上に難解な岩礁に突き当たることもある。

 表示的にはすごく類型的な人でも、中身が全く異なっていることもある。見た目とのギャップはつきあううちに判明してくる。

 しかし、情報が何もないときの第一印象が、相手の本質を纏め上げていることもある。そうなると振り出しに戻ることになる。

 人の持つ豊かさは複雑さでもある。ヒダの一枚一枚まで理解することは不可能なだけに、理解しきれないことが普通だと思うほうがいい。