川崎フォトエッセイ  その539  細工      HOME

 工芸品や細工物は、それなりに手先が器用でないと作れないものがある。熟練をようするとか、コツを会得するとかの時間も必要となる。

 しかし、最近のようにコンピューター処理で、できあがってしまうものが増えると、ますます手作りの味わいが恋しくなる。

 単なる板きれや粘土でも、ちょっといじることによって、商品価値が生まれる。これは、板や粘土を売るのではなく、手間暇や、技を売るようなものだ。

 その細工にかかる時間は曖昧で、一日かかって作ったものでも、千円の値札しか付けられない商品だと、時間給的には大損である。

 暇に任せて、コツコツと何かを作っているのならまだしも、それで生計を立てようと考えた場合、食べていけるかどうかが心配になる。

 何かを作るとき、それをお金と結びつけた瞬間、気合いが入ることもあれば、むなしくなることもある。