川崎フォトエッセイ  その557  バイト      HOME

 いつも見えているのに、注意して見ていない景色がある。初めて入った店とかは、それなりに店内を見渡し、どんな構造なのかを少しは把握する。しかし、それが何らかの必要性がなければ、視界に映っているだけの景色になる。

 一人で店内に入ったときと、複数とでも景色の見え方は異なる。店内を見るよりも、相手の様子をうかがうほうが重要で、文字通り店内は背景となる。

 並んで座っている場合、正面を見ると店内が映っているはずだ。しかし、そこで会話や飲食が行われると、ピントからはずされる。

 会話とかがとぎれ、あらぬ方向を見たとき、店内の何かにピントがぶつかる。そこで見たものは、部分的なものが多い。

 奥行きのある景色でも、注視しない場合、芝居の書き割りのように、平面的に見える。ただ、トイレの場所が、その奥にある場合、景色に奥行きを感じたりもする。