川崎フォトエッセイ  その556  バイト      HOME

「店の人」は、店にいるときは、そこの人だが、バイト店員の場合、店から出ると、違う人になってしまう。

 自転車屋の娘は、店内でも店外でも「自転車屋の娘」である。その娘が、自転車店の仕事をしていなくても、その印象で見てしまう。しかし、自転車屋の娘であることを知らない場合は、その限りではない。

 客とバイト店員の関係は、一過性のもので、次に来たときには、もういないかもしれない。店長が、すぐに変わってしまうようなチェーン店でも事情は似ている。これをもっと極端に言えば、自販機的なのだ。

 店でものを食べたり、買ったりするのは、日常的ではない時代もあった。ほとんどのことは自給自足的で暮らしていた農村とかもあったはずで、お金を出して、物を買うことが珍しい行為だったのかもしれない。

 何処かで馴染みの店ができ、取引が数世代も続くような関係をお手本としてみてしまうと、今の店屋さんは刹那的だ。