川崎フォトエッセイ  その559  窓と絵      HOME

 同じ位置から窓を見ていると、映画のスクリーンにも、または額縁にも見える。風がなく、雲も動いていないときは、風景も止まっており、絵と同じになる。

 絵と違うのは、そこは現実なので、自然現象は止まっているように見えても、人は移動するため、風景の中に人物が加わることがある。この場合、絵ではなく、実写(動画)になる。

 もし、窓から人が入ってくると、それはモニターやスクリーンから人が飛び出てくることになる。現実の窓は物理的にそれが可能なため、外の世界として安心して見ているわけにはいかない。逆に知っている人がいると、声をかけることができる。

 内と外は繋がっており、僕から見れば外だが、外の人が見れば、僕が外になる。窓の外の景色が、絵のような鑑賞物になるのは、何も起こっていない時に限られる。目の前の事柄を、どういう現象として捕らえるかは、その人次第である。