川崎フォトエッセイ  その563  乾燥      HOME

 吊し柿をのれんのようにぶら下げている図は、農村部とかでよく見かける。梅の実を干したりするのと同じで、一種の保存食になる。  ミイラと同じように、乾燥させると長持ちするのだろうか。

 以前は乾物屋があり、その種の乾燥食品ばかりが売られていた。凍り豆腐や干瓢や千切り大根とかである。

 生々しい感情も時間の経過と共に乾燥してくる。完全に乾燥してしまうと、もう、その感情が生まれないこともある。干し柿や梅干しにはまだ水分が残っている。生乾き状態である。そのため、まだ、なまの感情が残っていると言うことだろう。

 乾ききってしまわない程度に乾燥させた状態のほうが、扱いやすい事柄がある。自然な状態で乾燥させていくには、それなりに時間や手間がかかるかもしれないが、強引に乾燥させたものよりも、受け入れやすいだろう。

 丁寧に吊された干し柿を見ていると、精神的なメンテナンス作業を連想してしまう。