川崎フォトエッセイ  その575  様式      HOME

 機能は同じでも、自分の生活範囲内では見かけないと、別世界のもののように思えてしまうことがある。

 それが、どうでもいいような気分的な世界の違いなら問題はないが、形式として既に出来上がり、完成されているものだと、機能以上の事柄が生まれ、それに纏わる雰囲気が、接する側の態度を変えてしまう。

 様式や形式が、ある機能を果たすための仕掛けの一部だとしても、横並びで見るわけにはいかない何かを感じてしまう。

 これは一種の罠だと分かっていても、それに便乗したがる気分もあるわけで、普段とは別のレベルに立ちたいとか、触れたいとかの切り替えを必要とする場が欲しいときもあるのだ。

 たとえば、寺社などは民家と同じ形をしていたのでは、心づもりも違ってしまう。普段とは違う場を求めている場合、それなりの形を求めるものだ。