川崎フォトエッセイ  その579  昔のもの      HOME

 時代というのは後戻りできない。作為的にそれを実行したとしても、部分的なものでしかない。しかし、その部分は残り、建築年度を狂わせるような物件になることもある。

 未来を先取りしたような建物も、その未来が来た時点で、先取りできなかったことを示したりする。過去の時代に見た夢が、古い夢となって残っているだけだ。

 昔のものを見ていると、作り方が丁寧で、仕掛けに知恵が施されている。その時代で使われている材料は、どれも加工しやすかったように思われる。今、僕らが手に入る部品類は、それが完成品であり、削ったり割ったりできない材質が多い。

 部品そのものを作るよりも、組み立てる方向にある。既製の物を使うと言うことは、入手しやすく取り替えやすいことを意味している。それだけに同じようなものでできてしまうのだが、本来の目的は果たせていると思う。